○エス、エス「萬葉歌と琉歌」(上)
昔の大和人の歌と、琉球人の歌とは其の思想や感情や表現法等に於いて著しく似通うた処がある。古今集以後の和歌が琉歌に影響を及ぼした事は想像もつくが萬葉集に至っては大和人でさえ訓話解釈に苦しんだもので、波路はるかの琉球人には到底手に入れる事さへも至難の事であったらろうと思われる。それが随所に似た歌を見出すことは誠に面白い事である。

萬葉ー目には見て手には取られぬ月の中に桂の如き妹を如何にせむ
琉歌ー玉こがね無蔵や水の上のお月をがみつめなげな自由もならぬ

萬葉ー夕されば物思ひまさる見し人の言とふ姿おもかげにして
琉歌ー夕間暮とつれて立ちゆる面影に浅間しや我肝とれていきゆさ



⑪/1928年7月 南島研究会『南島研究』第3輯
○エスエス「萬葉歌と琉歌」(下)