2015年2月 川平成雄『沖縄返還と通貨パニック』吉川弘文館
○エピローグー 米軍と日本政府に追われて(略)安倍政権は、憲法改正とは異なった愚を犯した。それは、サンフランシスコ平和条約が発効された1952年4月28日の「4月28日」を「主権回復・国際社会復帰」の日として2013年4月28日に記念式典を開催したことである。沖縄住民の強力な反対を押し切っての開催であった。式典2日前の26日、マサチューセッツ工科大学名誉教授で『敗北を抱きしめて』によりピュリツアー賞を受賞したジョン・ダワーは、「式典を開催するという政府の決定は、日本政府がいかに鈍感かを示している。沖縄の人々の反対は絶対に正しい。いわゆる沖縄抜きの平和、沖縄の主権を含まない式典は、明らかに日本政府の平和に対する無神経さを示すものであり、誤解を招くものだ。沖縄の反対は正しく、理解に値するものである」と批判する。

安倍首相は、式典において「日本に主権が戻ってきたその日に奄美、小笠原、沖縄の施政権は日本から切り離されてしまった。とりわけ銘記すべきは、残酷な地上戦を経験し、おびただしい犠牲を出した沖縄の施政権が最も長く日本から離れたままだった事実だ。沖縄の人々が耐え、忍ばざるを得なかった戦中、戦後のご苦労に対し、通り一遍の言葉は意味をなさない」と述べるが、何の深みももたない。首相の表現を借りれば、「通り一遍の言葉」でしかない。(仲井真)知事代理として出席した高良倉吉副知事は、式典後、「沖縄戦や米軍統治時代の大変苦難な歴史、今に続く米軍基地問題など県民が訴えてきた問題を踏み込んで言葉にしていた」と評価するが、どこに評価に値する「言葉」があるのか、疑問である。(高良)副知事は、知事の代理とはいえ、出席すべきではなかった。というのは、政府は、(高良)副知事が出席したこと自体、(沖縄)県民の意思のあらわれと見るからである。


2015年4月4日『八重山毎日新聞』「退官の川平元琉大教授が研究室ー沖縄社会経済史の探究さらに」