○1年間で最も完成度の高い短編小説に贈られる第41回川端康成文学賞(川端康成記念会主催)は15日、大城立裕さん(89)の「レールの向こう」(「新潮」2014年5月号)に決まった。賞金は100万円。贈呈式は6月26日、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京で行われる。89歳での同賞受賞は、2003年に受賞した青山光二さんの90歳に次いで2番目。

 同小説は、妻が脳梗塞で倒れたことから、日常と個人の記憶が不安定となる様子を描いた物語。記憶障がいのリハビリに寄り添いながら、夫婦を取り巻くさまざまな記憶が、巧みに織り交ぜられていく。 受賞の報を受けた大城さんは「家内の病気をきっかけにして生まれた私小説。これまで2度、川端賞の候補になっているがここまで待って受賞でき良かった。彼女も喜んでくれると思う」と話した。 県出身者では2000年、目取真俊さんが「魂込め(まぶいぐみ)」で同賞を受賞している。(2015年4月16日『沖縄タイムス』)

黒古一夫・編『大城立裕 文学アルバム』に戦後来沖した川端康成と、池田和、太田良博、大城立裕、南風原朝光、宮城聡、豊平良顕と写した写真が載っている。昨年、大城氏に深澤さんの話を電話で聞くと、この頃の記憶は殆ど無いという。川端文学賞の記事を見て、写真家で、大城氏の二中の先輩の山田實さんは大城氏の受賞を祝し手紙で「川端さんを桜坂に案内している大城氏を見かけたことや、伊豆の踊り子を書いた旅館に宿泊した思い出」を書いて送ったという。

○2014年6月 川端康成学会『川端文学への視界』(年報 №29)深澤晴美「川端康成と沖縄ー幻の長編『南海孤島』/米国占領下の沖縄行』」



〇1938年1月 『月刊琉球』山里永吉□壺中天地ー印象 昭和13年の新春早々、作家川端康成氏が来県し、沖縄を主題とした小説『南島孤島』を執筆するといふ私の趣味からいふと、右の『南島孤島』といふ題はあまり感心出来ない今迄、誰もが使い古した平俗な響きと内容を思はせる言葉であり、川端康成氏のやうな作家が琉球を表現するに、果たしてあんな安つぽい題を採用するかどうか、甚だ疑問に思っているが、先ずさういふ枝葉の問題は暫くおいて、川端氏来県の報をいち早く耳にした蔵重知事は、東京の本宅から鎌倉の川端氏に電話して、敬意を表しておいたといふ。

蔵重知事が川端康成の愛読者である事は、本誌創刊号の知事の随筆を読んでも解るが、知事は川端氏が来県せば、その書斎として官舎の離室を提供したいと筆者に語った・・・