10/02: 『日本古書通信』
創刊1934年(昭和9)1月。創刊以来、古今東西のあらゆる書物や、古書探求にまつわる人々の話題を、研究的にまた読んで楽しい随筆として掲載してまいりました。各地で発行された知られざる特殊文献の紹介、古書即売会などイベントの情報、書物に関した展覧会情報などのコーナーも喜ばれています。→日本古書通信社
□1960年に琉球放送を定年退職した國吉眞哲は琉球学の本の蒐集活動に力をいれた。定期購読をしていた『日本古書通信』(1962年12月)に「二つの『ふるさと』河上博士と伊波氏」と題して、河上肇の自筆影本『ふるさと』を入手した経緯を書いている。1963年3月の『日本古書通信』には「戦前の那覇市は人口6万、書店3軒、古書店1軒、映画館2館という、もの静かな町でしたが、戦後は人口23万、書店70余、古書店2軒、映画館15と膨張しました。現在の沖縄は消費一辺の街として島全体がごったがえしています。東京の立川基地付近とホンコンをくっつけたようなところでしょうか。文化人や芸能人が、ここ2,3年多数来ています」と書いている。
全国の古本屋から国吉翁に送られてきたハガキ
國吉眞哲の琉球放送時代の部下に真栄城勇が居る。真栄城も國吉同様コレクターで切手がメインだが新聞・雑誌からチラシ・ビラ何でも蒐集する。そのコレクションを整理し、2001年に『沖縄がらくた文化ー品々が伝える、あの時、その頃』を沖縄マリン出版から発行した。それが切っ掛けで沖縄コレクター友の会が発足し真栄城は初代会長に就いた。
1963年7月 『日本古書通信』通巻408号 山宮允「詩書蒐集の思い出」/柴田宵曲「雑書雑読の楽しさ」/森銑三「娯息斎詩文集の著者」/「長谷川伸著書目録」/井荻艸房主人「文士雅号の由来(7)」/天野敬太郎「最近の書誌圖書関係文献」/「訃報 伊藤一男 長谷川伸」/1960年7月 『日本古書通信』別冊1号
1963年8月 『日本古書通信』通巻409号 庄司浅水「わが愛書の記」/小田切進「近代文学館の構想」/沢田伊四郎・森谷均「限定本 豪華本 本づくり30年」/井荻艸房主人「文士雅号の由来(完)」/「近代文学研究書 時価目録」/「訃報 山之口貘」/天野敬太郎「最近の書誌圖書関係文献」
1963年8月 『日本古書通信』通巻409号 庄司浅水「わが愛書の記」/小田切進「近代文学館の構想」/沢田伊四郎・森谷均「限定本 豪華本 本づくり30年」/井荻艸房主人「文士雅号の由来(完)」/「近代文学研究書 時価目録」/「訃報 山之口貘」/天野敬太郎「最近の書誌圖書関係文献」
1963年9月 『日本古書通信』通巻410号 西田長寿「明治新聞雑誌文庫」/市古貞次「国書総目録の編纂に加わって」/津田きよし「大阪古書組合創立40周年を迎えて」/天野敬太郎「最近の書誌圖書関係文献」
1963年10月 『日本古書通信』通巻411号 丸山信・樋口秀雄「書物関係展覧会一覧(1)」/天野敬太郎「最近の書誌圖書関係文献」
1963年10月 『日本古書通信』別冊2号
1963年11月 『日本古書通信』通巻412号 丸山信・樋口秀雄「書物関係展覧会一覧(2)」/「訃報 ジャン・コクトー 渋沢敬三」/天野敬太郎「最近の書誌圖書関係文献」
1963年12月 『日本古書通信』通巻413号 大久保利謙「憲政資料室」/渡辺宏「マルコ・ポーロの旅行記」/「今年の古本界」/木村毅「時の人・時の本 サニエル著 日本とフィリピン」/丸山信・樋口秀雄「書物関係展覧会目録一覧(完)琉球と薩摩の文化展覧会目録」/天野敬太郎「最近の書誌圖書関係文献」
1983年5月 『日本古書通信』通巻646号 朝倉治彦「人と日記/イギリス公使館・東禅寺詰日記」/佐藤良雄「『仏蘭西文學研究』第一号のひとびと」/服部清道「少雨叟のこと その他」/中村幹夫「藤村の逸文」/御荘金吾「南米古本屋談義(3)ーブラジルの古本事情」/「木俣修 著書目録」/アン・ヘリング「続・縮緬本雑考(7)」/上村直己「『独逸學協会雑誌』及び『學林』について」/「変貌続ける神保町」/小梛精以知「古本屋人脈記(2)一誠堂の巻(下)」/「専門店と語る/野本孝精氏ー紙クズ、珍品のデパート アベノスタンプコイン社」/深井人詩「最近の書誌圖書関係文献」/「柴田宵曲翁日録 抄(23)」/「訃報ー英美子、近藤真柄、戸川猪佐武、尾崎一雄、平尾幸豊、高垣眸、木俣修、岸本誠二郎、高尾彦四郎」
1940年12月11日『報知新聞』庄司 淺「先手必勝の戦法」/1988年2月 リプレー 訳・庄司 浅水『世界奇談集3』河出文庫/1984年9月 庄司 浅水『写真にみる日本の本』保育社(サイン入り)
庄司 浅水(しょうじ せんすい、1903年11月10日 - 1991年9月7日)は、日本のノンフィクション作家、書誌学研究家。ミズノプリンティングミュージアム名誉館長。 日本出版学会、日本ペンクラブ、グロリアクラブ、各会員。元京都外国語大学専任講師。書物研究の傍ら、世界の奇談を紹介した。→ウィキ
『日本古書通信』(2015年11月)□西田勝「田岡嶺雲と沖縄」
2016年4月『日本古書通信』通巻1041号 内野光子「白蓮年譜の千載帖空白~『塹壕の砂文字』献呈先から探る~」/「内田市五郎「『書票』という語の初出について」/川島幸希「夏目漱石の重版本」/間宮賢「『千載帖』との出会い」/岡崎武志「昨日も今日も古本さんぽ」/牧野泰子「日本研究・京都会議」/横田順彌「近代へんてこりんスポーツ本㉔三石巌『野球の科学』」/池谷伊佐夫「本棚のスキマ/回想の『奥村書店』」/七面堂「地下本という名の特殊出版(2)『性界聞覚草書』」/長谷川菜穂「美術雑誌総目次 戦前編<37>芸術(芸術社①)」/森登「銅・石版画万華鏡104 河野次郎の図画教科書」/青木正美「古本屋控え帳358 谷崎潤一郎と江戸川乱歩」「2016年春の古書即売会」/「書物の周囲 特殊文献の紹介ーローザ・カーロリ編集『想像の沖縄:その時空間からの挑戦ー第5回沖縄研究国際シンポジウム』」/「受贈書目ー謎の女幽蘭 古本屋『芳雅堂』の探索帳より」
2016年5月『日本古書通信』通巻1042号 久松健一「鎖国時代における西洋語受容主要文献年表」①/折付桂子「東日本大震災から5年ー古書店と読者に聞く『復興』」/太田登「『薄田泣菫宛書簡集』を読む」/岡崎武志「昨日も今日も古本さんぽ」/』」/長谷川菜穂「美術雑誌総目次 戦前編<38>芸術(芸術社①)」//横田順彌「近代へんてこりんスポーツ本㉕木々高太郎著『新記録の秘密』」/池谷伊佐夫「本棚のスキマ/新作『少年探偵団』/石黒敏彦「ある閉店の辞・・・それが数年前から教養を軽視する政権になり、本をめぐる環境も一層悪くなっているように感じます。・・・」/「談話室ー全古書連歓迎市開催中の東京古書会館玄関で熊本の舒文堂河島書店さんとすれ違った。・・・」
文化の杜の金城さんから『ミリオンセラー誕生へ!明治・大正の雑誌メディア』(印刷博物館)を見せてもらった。それによると1880年代の雑誌『国民之友』は江戸時代の漢文素読の伝統をひき、始めから終わりのページまで一字一句j熟読したという。95年の博文館の三大雑誌『太陽』『少年世界』『文芸倶楽部』の登場で、現在のような視覚的・消費的な読み方に変わったという。
雑誌のビジュアル化が進んでいるが、その元祖は1889年に創刊された『風俗画報』である。出版元の東陽堂は1876年、東京日本橋で開業した。設立者は吾妻健三郎は山形米沢の出身。同年には秀英舎(現・大日本印刷)も設立されている。東陽堂の87年に出した美術専門誌『絵画叢誌』は銅板印刷の草分けとされる。吾妻と同郷の縁で東陽堂に入社した渡部乙羽は硯友社の同人となり、94年、出版社博文館の大橋家の婿に入るまで、『風俗画報』を中心に健筆をふるった。
『國華』第1号」が、岡倉天心、九鬼隆一らによって出されたのは1889年である。装丁も含めて豪華であるが、今も続いている。1904年、日露の衝突が避けられない状況を呈すると、博文館は宣戦布告の3日後に『自治機関・公民之友』を急遽、『日露戦争実記』と改題し発行した。さらに人気作家の押川春浪を主任記者とし『日露戦争写真画報』を発行した。従軍記者に田山花袋が居た。同じころ、国木田独歩の経営する近時画報社も『近時画報』を改題し『戦時画報』と改題、新進画家の小杉未醒が従軍記者となって活躍した。『日露戦争写真画報』は06年から『写真画報』に改題、春浪が編集長となり写真・絵画が豊富でバラエティに富む。
「岡倉天心」2005年5月 新城良一・編『ビジュアル版 日本・琉球の文明開化ー異国船来航の系譜』天久海洋文学散歩会
名嘉正八郎『図説・沖縄の城ーよみがえる中世の琉球』(1996年)は金城安太郎さんが挿絵を描いている。「察度と勝連と夜光貝」に伊計グスクの御嶽に祀られた夜光貝、千年貝、タカラ貝などの写真がある。私は末吉安允氏と同行し2001年に訪ねたことがある。1126年に建立された奥羽の中尊寺金色堂の螺鈿は、夜光貝であり、記録にないが間違いなく屋久島以南で採集されたものと同書は強調している。