島袋百恵・画「山之口貘」


沖縄県立図書館創立100周年記念「山之口貘文庫開設展」


写真は1925年8月16日、貘2度目の上京前に上左から又吉康和、国吉真哲、国吉真才、一人置いて貘
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写真は1959年1月3日「大原登美屋」で、座っている左から末吉安久(麦門冬の弟)、一人おいて国吉真哲、南風原朝光、一人おいて貘


2010年10月21日―午後5時 沖縄県立図書館の山之口貘展を期に貘さんの親友であった国吉真哲翁の「貘関係資料」数点を新城栄徳氏が沖縄県立図書館の島袋道男館長へ寄贈した。(宮城涼子 資料班長記)



  不沈母艦沖縄   山之口貘    
                             守礼の門のない沖縄           
                             崇元寺のない沖縄
                             がじまるの木のない沖縄
                             梯梧の花の咲かない沖縄
                             那覇の港に山原船のない沖縄
                             在京三〇年のぼくのなかの沖縄とは
                             まるで違った沖縄だという
                             それでも沖縄からの人だときけば
                             守礼の門はどうなったのかとたずね
                             崇元寺はどうなのかとたずね
                             がじまるや梯梧についてたずねたのだ
                             まもなく戦禍の惨劇から立ち上り
                             傷だらけの肉体を引きずって
                             どうやら沖縄が生きのびたところは
                             不沈母艦沖縄だ
                             いま八〇万のみじめな生命達が
                             甲板の片隅に追いつめられていて
                             鉄やコンクリートの上では
                             米を作るてだてもなく
                             死を与えろと叫んでいるのだ