宮里千里氏を紹介する瑞慶覧長敏氏/宮里千里氏と対談する高野孟氏

2016年12月26日(月)16時より、ブックカフェ『ゆかるひ』(那覇市久茂地)にて、沖縄民俗祭祀採音者の宮里千里氏を講師にお招きし第24回世界友愛フォーラム定例勉強会「琉球の祭祀音源とアジア周辺の音」(主催:東アジア共同体研究所 琉球・沖縄センター)。


高野孟氏に『琉文手帖』を贈る/1992年1月 高野孟 編『マフィア経済の生態』東洋経済新報社


2014年10月 鳩山友紀夫、高野孟・他『東アジア共同体と沖縄の未来』(友愛ブックレット)

○進藤榮一-共通のリスク/1997年から98年にかけて勃発したアジア通貨危機です。1997年7月2日、ちょうど大英帝国が99年間の植民地統治を終わらせて、香港を中国本土に返還したその日をねらい打ちするかのように、米欧の機関投資家、ヘッジファンドが動き始めます。タイの通貨バーツを大量に買い続けた後で、一気に売り浴びせます。タイガーファンドやソロたちが、バーツの売りと買いを繰り返して、巨額の富を稼ぎ出したのです。(略)IMFは貸し出しに応じますが、条件として貸出国、特に韓国に対して経済構造改革を求めます。そして結果として外国資本、特にアメリカ企業が参入しやすい条件を呑ませたのです。その構造改革が、今日の米韓FТAに繋がって、韓国経済のアメリカ化とでもいうべき悲惨な状況をつくり出しています。いわばアジア通貨危機を契機に、アメリカ流のカジノ資本主義のリスクが、成長するアジア市場をめがけて、襲いかかってきたのです。

○高野孟ーサンフランシスコ平和条約の本質は占領の継続である。(略)天皇は、日本は無防備だから独立後もアメリカに守っていただきたい、そのために沖縄を差し出しますという提案をし、なおかつ、そのことはサンフランシスコ講和条約そのものには書き込まずに、別途の租借条約のようなものを作った方がいいというところまでマッカーサーに提案した。私は昭和天皇っていうのはすごい政治家だと思いますけど、実際その通りになって、サンフランシスコ講和体制の下での日米安保条約とその実体をなす日米行政協定、今日の日米地位協定という戦後日本の骨格が出来上がった。そのまま占領体制をむき出しにして独立を公言する訳にもいかないし、安保条約という包み紙だけではアメリカ一本やりになってしまう。さらに丁寧にサンフランシスコ講和条約という風呂敷で包んで見せたということであって、本質は占領の継続です。

○高野孟ー安倍政権の「新・富国強兵」/安倍首相を突き動かす、おじいさんコンプレックスーその安倍さんを突き動かしているのは、専らおじいさん、岸信介へのコンプレックスだと思います。あの人の口から、お父さん、安倍晋太郎元外相の話は一切出てこない。こんな飛ばし方もひどいんじゃないか、もうちょっとバランスを取ってもいいんじゃないかと思うくらい、ひたすらおじいさんに傾いていく。結局、安倍さんの歴史観・国家観はそこに行き着いていくんじゃないか。満州国を作ったのは岸信介です。あれが中国侵略なんかであったはずはないと、安倍さんは思っているんでしょう。そしておじいさんは、東条内閣の一員として大東亜戦争を戦いました。あれが尊い戦争でない訳がないじゃないかと、安倍さんは思っているのでしょう。そしてまたおじいさんを戦後GNQが極東裁判にかけようとして、3年間巣鴨プリズンに放り込みましたけれども、幸いにCIAとの妥協が成立したのかどうか、裁判にはかけられなかった。しかしおじいさんを危うく戦犯で絞首刑にしようとした極東裁判なんて間違っていると思っているに違いないのです。

◇高野孟1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。94年に故・島桂次=元NHK会長と共に(株)ウェブキャスターを設立、日本初のインターネットによる日英両文のオンライン週刊誌『東京万華鏡』を創刊。2002年に早稲田大学客員教授に就任。05年にインターネットニュースサイト《ざ・こもんず》を開設。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。→「まぐまぐ!」



○孫崎亨ー去年2013年の12月13日に、天皇陛下が80歳の誕生日を迎えられました。そしてそこでお言葉を述べられたわけですけれども、このようにおっしゃっています。「戦後連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を守るべき大切なものとして日本国憲法を作り、様々な改革を行って今日の日本を築きました。戦争で荒廃した国土を建て直し、かつ改善して行くために、当時のわが国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。」(略)NНKニュース・NНKのニュース資料では、この「平和と民主主義を守るべき大切なものとして日本国憲法を作った」というところを省いています。外国の報道機関はここをわざわざ取り上げて、天皇陛下はそう言われたと報道ー。

 2012年5月15日ー地元紙を見ると、NHKもそうだが相変わらず「識者」と称する人物たちに発言させてお茶を濁らしている。記者は自分の問題として識者の見解も参考にして、戦後このかた「基地」問題で揺れ、なお「安保容認」チジを生み出している根幹は何なのかを追及し県民に分かりやすく解説してほしいものだ。前に書いたが「また鳩山元首相が来るのを問題視するマスコミがあるが、そんな枝葉のことよりも消費税の野田首相にこそ問題視してほしいものだ」と強調した。地元紙は相変わらず「カジノ」「消費税」なども通信社記事をせっせとたれ流している。特に「消費税徹底議論せよ」とか「カジノ誘致 全国で過熱」とはエロ雑誌顔負けだ。ま、最近は広告にもエロ的広告が目につくが。密約復帰40年というのに、新聞報道が少しも変わり映えしないから必然的に余生を沖縄で過ごしている(?)岡留氏のブログをつい見てしまう。

岡留氏のブログ□鳩山氏に対する大手メディアの論調はまさに変人扱いだが、少なくとも普天間基地の県外・国外移設を堂々と主張した総理は初めてである。今や、仲井真知事を含めて沖縄県民の8割が県外移設を主張しているが、その先鞭をつけたのは鳩山氏なのだ。鳩山氏はイラン訪問でもバッシングされたが、鳩山氏は民主党外交担当最高顧問という肩書で、米国が敵視するイランとの融和で動いただけのことである。日本はイランとは石油で大きな取引関係があるだけに、米国の道ずれでイランとの関係を断つよりもはるかに国益にかなうのではないのか。米国の意向を汲む政治家、官僚、メディアこそが鳩山叩きの元凶なのだ。

その日の夜は、インターネットTV「ニコニコ生動画」が沖縄にやってきて、ラジオ沖縄のスタジオから全国に放送された。復帰40年で、現地から沖縄問題を語ろうという画期的な試みだ。(略)当日の県と国が開催したコンベンションセンターの式典の模様を批判的に取り上げつつ、基地問題を語る。「ニコ生」にしては硬派すぎたかも知れないが。式典でもっとも印象的だったのは上原康助元衆議院議員が来賓の野田総理やルース駐日大使を名指しで、沖縄の基地の現状を手厳しく訴えたこと。美辞麗句の式典が一挙に暗転したが、メディアの式典報道では上原発言はいずれも取り上げていなかった。




1983年10月 名東孝二 編『地下経済は増殖するー日本のアングラ・マネーの功罪』高野孟「世界を徘徊する”妖怪〟」ダイヤモンド社


■安倍プーチン会談の「惨敗」を伝えない大手新聞社の苦しい言い訳
(まぐまぐニュース/高野孟)
 プーチン来日による日露首脳会談が余りに惨めな失敗だったことについては、本誌前号で詳しく論じ、読者諸賢も国民の多くもそう思っているに違いないので、しつこく繰り返したくないのだが、どうしても注意を喚起しておきたいことを1つだけ付け加えておく。
 この首脳会談の結果、両首脳が署名する「共同声明」も、署名を必要としない「共同文書」も作成することができずに、結局、日露がそれぞれ自国のプレス用の「報道機関向け声明」を発表しただけに終わった事実を、皆さんご存じだろうか。多分、ご存じないと思う。
 正直なところ、私も最初は気が付かなくて、数日後に「さて会談はどういう公式文書にまとまったのか、一応全文を読んでおこう」と思って首相官邸のHPを訪ねたところ、16日の両首脳の共同記者会見における安倍晋三首相の冒頭発言だけが掲載されていて、他には何の文書も見当たらない。「あれ? 何やら共同声明のようなものが発表されたんじゃなかったけ」と思って探すが、ない。
 それで新聞をひっくり返すと、朝日17日付朝刊第2面に「共同経済活動に関する報道機関向け声明」と、第3面に「自由往来に関する報道機関向け声明」とのそれぞれ要旨がさりげなく載っている。その朝日を含めて各紙の書きぶりは、「両首脳の共同記者会見が行われた。……声明では云々」という風なので、頭の「共同」という言葉と、後の「声明」という言葉が結びついて、「共同声明」が出されたような錯覚に陥っていたのだということが判明した。
 そこで、そのプレス向け声明についても全文を参照したいと思って探すと、あった! 外務省HP「プーチン・ロシア大統領の訪日(結果)」の中の「3.作成文書」に、その2つのプレス向け声明、「ロシアにおける日本年」「日本におけるロシア年」開催に関する覚書など政府間で計12本の実務的文書に署名したこと、8項目の経済協力プランについて民間が計68本もの文書に署名したことが記されている。ということは、あ、やっぱり共同宣言も共同声明もなかったんだということが確認できた。
 さらに16日の朝日夕刊は、「共同記者会見で『共同文書』を発表する方向で最終調整に入った。両首脳は文書に署名はしないが、会見でその重要性を強調する見通しだ」と書いていたが、結果から見ると、署名抜きのその共同文書さえも最終調整に失敗し、それでプレス向け声明2通だけになった。ところがそれも日露共同の声明ではなく、それぞれの声明にとどまったのである。
 そういうことだったのだということは、上述のように朝日が暗示的に指摘している程度で、どこも明示的には書いていない。ようやく私が見つけた唯一の明示的な指摘は、「週刊文春」先週発売の12月29日号の常設コラム「新聞不信」欄で「政権『目線』の紙面にウンザリ」と題して次のように…(続きは以下アドレスより)


<政界地獄耳>稲田防衛相の靖国参拝に米が異例の不快感
日刊スポーツ 2016年12月31日
 ★安倍政権全体の政治センスのなさなのか、防衛相・稲田朋美の政治・外交音痴なのか。稲田は29日に靖国神社を参拝した。参拝後、特攻隊員だった叔父が靖国に合祀(ごうし)されたことに触れ、「家族や国を守るために出撃した人々の命の積み重ねの上に今の日本があることを忘れてはならない」とした。しかし、その直前には米ハワイ・真珠湾へ首相・安倍晋三に同行し、日米の「和解の力」を強調したばかりで、A級戦犯を祭る靖国への参拝は、真珠湾での慰霊を台無しにしたと言え、日米関係者を失望させた。
 ★中国外務省は会見で「侵略の歴史を美化する靖国神社を参拝したことは『和解の旅』への何よりの皮肉だ」と反発。韓国外交省も「韓日関係の改善努力に逆行する行為だ」と批判した。しかし、何よりも米政府は閣僚の靖国訪問で異例のコメント発表。米国務省当局者は29日、「われわれは歴史問題には癒やしと和解を促進して取り組むことが重要だと強調し続ける」とトーンは控えめながら不快感を示した。
 ★いずれにせよ、この稲田の行動は真珠湾での一連のセレモニーや演説が、政治パフォーマンスでしかなかったことを裏付けることになった。また、党内からは防衛相としての資質を問う声も上がっている。「そもそも真珠湾で首相の横に夫人のように寄り添い同行する稲田への違和感は大きい。首相のお気に入りは分かるが、結果、首相と稲田の両方の株を下げた」(閣僚経験者)。答弁でべそをかいた稲田は、結局自身の政治信条をコントロールできない、防衛相としても政治家としても極めて稚拙といえる。この国の防衛が彼女にゆだねられていること自体が危機的状況だ。(K)※敬称略